「奈良県での労働相談」といえば「奈労連」といえる。労働行政機関をはじめ弁護士事務所などの相談窓口、対応してくれる専門家は多いが、奈労連への相談者には「結局」自分の判断、話を聞いてもらっただけ、奈労連というところもあると教えてもらった」という人が案外多い。弁護士事務所に行ったが「まず、奈労連と相談をと紹介されて来た」と言う人もいる。この判断は正しいと思う。行政や弁護士が対応を放棄したのではない。専門家が手助けする前に、「労働者には労働基本権があり、団結し、交渉してみることだ」との適切なアドバイスだ。その奈労連も解決へ肩代わりするのでない。相談者の要求に正当性があるかを分析し、要求すること、組合とともに交渉することに確信を持ち、援助する。その力で押し返す。「賃金は安く、労働はきつく、企業主への儲けは厚く」では労働者は浮かばれない。それどころか「残業しても残業代が出ない。未払いは常態化している」、これは犯罪行為だ。この1年、解雇撤回、賃金未払い、パワハラ、セクハラ問題を解決、「メンタル」を克服、様々な困難を乗り越え職場復帰した相談者は少なくない。共通しているのは「たたかう仲間、応援してくれる仲間がいた。孤独だったが、自分の主張をしっかり通せた」と言う人だ。まもなく2011年、全労連・奈労連の仲間とともに旺盛な活動をする年としたい。全労連に参加する労組の存在は小さなものではない。

11月6日、国鉄闘争勝利報告集会が開催された。国鉄がJRに移行するにあたり採用されず23年間、まさに不屈のたたかいだった。報告集会では国労近畿地本井戸敏光書記長が言ったように「たたかいの足跡といってもまだまだ報告しきれない。」それだけ苦難もあり、表に出しきれない奮闘があった。23年間長期に闘った大矢勝さんや北海道の西山順さん、九州闘争団が参加、相良博美氏ら多くの弁護士、歌声「号笛」や「蟻の会」の仲間80名が勝利をよろこび激励した。

「サービス残業・賃金未払い・成績主義でノルマノルマの毎日・パワハラ・セクハラ・不当解雇」こうした問題を解決してきた1年、特に未払い残業代の請求のAホテルが支払ったのは、500万円を超えた。建設業の未払いは200万円を越え、ある介護職場では深夜の待機仮眠時間の未払い分を認め支払うと約束した。これらは労働基準法にてらし正当な要求を掲げ交渉した成果だが、セクハラを訴えられた労働者が、きっぱりと否定、会社も交渉で再評価、事実関係の不備を認め一定額の和解金解決を合意しようとしたが、加害者扱いされた労働者が納得できないとして労働裁判に。弁護団の協力も得て、解雇撤回、本人の希望する和解内容で解決できた。 絶対勝つとした弁護団とともに奈労連は支援し労働審判で勝利和解に導いた。

11月の相談件数は、郡山2件、継続含め37件。新規の内容は、「賃金・残業等未払」が10件、「解雇・退職勧奨」（雇い止め含む）が8件、「組合結成・加入」が7件、「社会・雇用保険」が6件、「セクハラ・いじめ」が5件、「労働契約違反」と「労災・職業病」が各4件、「労働時間・休暇」が2件など。